そこ、hyphen

これはコトバですか?

伊藤比呂美『女の一生』

 伊藤比呂美、というと私の中で条件反射的に結びつくのが『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』*1である。このぎょっとするくらいの深い赤色の表紙に違わず、重ための文体で女性性のいろんなものをひきずっている伊藤比呂美を、当時大学生だった私は息を止めて方に力を入れながら、比較的興味深く読んだ記憶がある。あとがきに、「『これは小説ではない、散文詩だ』と評価された」と書かれていてこれは詩なのか、とひどく驚いたような気がする。でもほんとうにあとがきにそんなことが書かれていたのか、今となっては心もとない。

 しかるにして先日。

女の一生 (岩波新書)

女の一生 (岩波新書)

 

を読みました*2。 

もうなんていうか、あけすけに言ってしまうなら、排泄のカタルシスでした。
読み終わるともろもろが身体や頭や心から出ていってるスッキリ感。
理想と現実、助言と放言がほどよいバランスで散りばめられていて、この文章を誠実ではないという人はおそらくいるだろう、あらゆる業をひきうけてきた女の、ある地点でふっと跳躍してしまった一瞬をわたしは見たような気がする。

テーマはもちろん女性で、フェミ色にいろどられているように思われるけれど、そこに惑わされずただただ「あたしはあたし」「あなたはあなた」をたしかめてゆく漢(注: おんな)の気持ちよさに巻き込まれてほしいと思います。おすすめです。

*1:

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起

 

 

*2:読もうと思ったきっかけはこちらの 伊藤比呂美 女の一生 - ただ読んだ本を記録していくだけのここ です