そこ、hyphen

これはコトバですか?

ゆけり、数秒

うちやまさん、という歌人について教えてもらい、第一歌集である『窓、その他』を初めて読んだのが今年の初めくらいで、この歌集の尋常ではない引きの強さにただただ圧倒され、それを誰に語ることもなかったんだけど、先日短歌の話になってうちやまさんの話になって「どの歌が好きなの?」と言われた時に、なぜかすぐに答えられなかった。

家に帰って、答えられなかったことが悔しく、いや悔しいというよりかは不本意な気持ちで、歌集を最初から最後までめくっていた時に、ああこれだ、そうだこれだ、と思い出したのが冒頭の歌である。

初読、この歌がイメージとなって立ち上がってきた時に、すごくショックだった。

海辺の「さむさ」の中に立っているという把握は、この人の孤独のようなものを予感させるし、それは「病院めく」という死をイメージさせる場所とのオーバーラップによってより明確になる。ただそれが垣間見えるのも、数秒のことで、この凝縮された一瞬が、余計にこの立っている人の立ち入れない領域をあらわにするのだ。

しかしそこに情感はなく、ただそういう触れることができないと思わざるを得ない絶対的領域、それを孤独あるいは孤高と呼ぶ人もいるだろう、の鋭さをただ思い知るのみである。

またこれは個人的なイメージだが、この海辺に立っている様に、私は逆光の中での景色を想起させられていて、それは「病院」の日が差し込みながらも暗い廊下のイメージとの重なりを見い出してしまっているからなのかなあと思っている。

歌集 窓、その他

歌集 窓、その他